2018年の終わりに発表した4枚目のスタジオアルバム『Dream』の続編とも言えるニューアルバム『Dream II』を2019年11月22日(金)にリリースしたSlushii。
続編と言いましたが、この『Dream II』ではサウンドプロダクションも今までのフューチャーベースとは大きく異なっており、Slushiiによる新プロジェクト「sapientdream」名義でリリースされました。
新プロジェクトと言っても、約1年前に「sapientdream」名義でSoundCloud上に幾つか曲をアップしています。
またこのアルバムでは全体を通して”愛するものを失った後の感情の旅”を表現しており、全17曲の43分間の中にエモーショナル且つアコースティックな要素を多く詰め込んだドリーミーな作品となっており、Slushii自身も積極的にヴォーカルも担当しています。
Slushiiはこのアルバムを発表する前、ファンに自身がアスペルガー症候群になり、学生の頃いじめを受けうつにもなったことを告白。
いつも自分を慰める意味でもハッピーな曲ばかり作っていましたが、一度自分の気持ちや感情を正直に表した作品を作ってみようと思い、同時に自分のように現在苦しんでいる人たちのほんの少しの逃げ道になるような作品を目指して『Dream II』を制作しました。
Slushiiは「sapientdream」のストーリーについて、以下のように語っていたので意訳してみました。
これは一個人の物語。
幾通りにも解釈することができるため、この一連の作品を描く中で得た教訓がリスナーたちにも響くことを願う。
これは一個人の物語。
ひどい拒絶を受け続けて苦しんだ孤独な魂。絶えず続く疎外感や虚しい期待によって傷つけられ、自分の心の中に壁を作り眠りに落ちる。そして夢[DREAM]を見始める。
夢の中でその人は日本・東京の近くでひとりの画家に会った。
誰なのか知らないけどその画家によって世界が180度変わった。一目見ただけで心地よい感情が彗星[COMET]のごとく身体を駆け抜けた。それから1年が経った頃、未だかつてなかったことが起き始めた。流れ星[SHOOTING STAR]のように落ちてきた虚ろな囲いから壁が心を守ってくれた。まだその人は夢の中にいて夢が覚めないことを願っていた。その画家と一緒に夜空[NIGHT SKY]を見上げると時間が止まった。その瞬間、飛び出したい理由[REASON TO FLY]が分かったけど、画家はその翼を切った。感情的な敗北と後悔が入り混じったわずかな時間、その人は自分の心を日本に残した[HEART IN JAPAN]。
ほんの一瞬の間で、本当の愛を見つけ失うのと同時に、単純な時間を回想する。その人は姉妹で、子どもの頃の2人の絆はまるでバネのようで、一緒に絶えずあちこち動き回っていた。でも2人はもう[ANYMORE]話すことはなく、その絆は断たれ、傷つけられたまま。それからその人は止むことのない言い訳や不必要なノイズに対する耐性がついたのだ。
これは一個人の物語。
その人は最終的に悪夢へと変わった夢から覚めて前へ進む[LET GO]ことを決意する。全ての困難を経験してきても尚、ひとつのことは変わらずにあり続けた。自己意識を持つことで本当の夢が始まる。何もかも背負い込む代わりに自分自身を愛するということは最初は難しいかもしれないし、時には上手くいかないこともある。でもコントロールすることのできない変化する事柄に対応するかどうかは自分次第。
個々は皆、自由なのである。
ある夜、私は夢[DREAM]を見て、そして目を覚ました。
随所に『Dream II』のタイトルにもなっているワードが散りばめられていますが、なんとも詩的で深い内容となっています。
こういった情景を思い浮かべた上で、Slushiiが自分そのものだと説明するニューアルバム『Dream II』を今一度聴いてみて下さい。
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