北海道・札幌出身の DJ / プロデューサー NORII が本日 7 月 21 日(金)に、Nicky Romero 主宰のサブレーベル Protocol Lab から最新シングル “Disguise” をリリースしました。そこで直接、NORII にインタビューを行い、リリースに至った経緯や新曲に関する制作秘話を振り返ってもらうと共に、今後予定されているリリースや自身のルーツについて等、とことん語っていただきました!
目次
普段の制作方法や音楽的なルーツに迫る
──早速ですが、今年は Hardwell 主宰の Revealed Recordings から “Need You” を発表したり、Jeffrey Sutorius 主宰のレーベル BODYWRMR からも自身初となる EP『LOST / OLDSCHOOL』を出したりと、精力的に音楽制作に取り組まれていますが、毎日どのくらいの時間を音楽制作に費やされているのですか?
基本的に自分にアイデアがないときはパソコンを全く開かないようにしていて、普段の生活で「なんか、こういう曲作りたい」とか、雰囲気やメロディラインが思い浮かんだときにだけパソコンを開いてスタートするんですけど、特にどこから作り始めるというのは何も決めていないですね。その日の気分にもよります。パソコンを開くときは短くても 7、8 時間はやりますし、その状態で今日はフィニッシュまでいけるなって、自分の頭の中で全ての構成が見えたり、ある程度クラブとかでもかけられるレベルまで 1 回でもっていけるときは、12 時間とか集中しているときもあります。
──日によっては 1 回でそのレベルまでいける場合もあるんですね!?
結構ありますね。僕の場合は先に DJ をはじめていたので、曲の構成が頭の中で一気に流れるように決まることがあって、作曲だけしている人と比べると、DJ から入って作曲を始めた人なので、ちょっと早いかもしれないですね。
──それで言うと、DJ を先にしていたというのが作曲においてかなり役に立ちましたか?
めちゃめちゃ役に立ってますね。Protocol の A&R と話していても、4、5 年前の EDM と比べると、最近のプログレはドロップからブレイクダウンに入るときに全部の音が 1 回なくなって、すぐにローカットされたキックでビートを作るみたいな、よりテック・ハウスに近い構成になっていて、プログレとテック・ハウスの中間みたいな Protocol スタイルの EDM を欲しいと言われているので、DJ で言うところのグルーヴを崩さない曲というか、休ませるポイントを作らず常にお客さんの足を動かすダンス・トラックにするというのは意識しています。
──そう言えば、90 年代ハウスのソウルフルな雰囲気にのめり込んで、18 歳から DJ 活動をスタートしたとお聞きしましたが、影響を受けた DJ /プロデューサーはいたのでしょうか?
DJ もそうですし、作曲を始めるときに影響を受けたのは、同じ札幌出身の DAISHI DANCE さんですね。もう DJ をはじめて 12、3 年になりますが、学生時代にフェスなどで見た DAISHI さんの DJ だったり、当時ヒットしていたジブリの名曲をクラブミュージックにアレンジしたアルバムなどの影響は大きかったと思います。DAISHI さんと言ったら、札幌の老舗クラブ Precious Hall でのレギュラーパーティーでも有名ですが、DAISHI さんと初めてレギュラーを組ませてもらったのは印象に残っていますね。
この投稿をInstagramで見る
その頃、ageHa でワンマンするってなったら、ひとりで飛行機に乗って見に行ったり、DAISHI さんのことをずっと追いかけていたんですけど、自分のことを認識してくれたのは、小樽のビーチで開催された KEN ISHII さんや中田ヤスタカさんも出演されていたフェスで、DAISHI さんにサインもらいに行ったときに、「熱心な大学生がいるなぁ」みたいに認識されたのが初めてです。当時、札幌コレクションが全盛期だったころに、DAISHI さんも出演されるということで、主催者に直接連絡を取ってなんとかブッキングしてくれないか猛烈アピールしたんですよ。イベントが始まる 1 ヶ月くらい前から毎週のようにビラまいたりして、来場者を百何人か呼んでとにかくインパクトを残しました。そしたら、DAISHI さんが Precious Hall でイベントやってたときに DM で直接連絡をもらって、「とりあえず1回やってみなよ!」って感じで誘ってくれて、そこから一緒にやることになりました。その後も、DAISHI さんとリビエラでイベントやったりと、未だに一緒に色々させてもらっています!
FESMORI
最高な盛り上がり
ありがとうございます5時からは
DAISHI DANCE
& DJ NORII
の札幌組B2B pic.twitter.com/AxCQoW471P— Riviera sapporo (@Riviera_sapporo) December 7, 2019
──DAISHI さんとそこまで深い繋がりがあったのは初めて知りました!ちなみに、NORII さん自身、幼い頃や学生時代に音楽はされていたのですか?
楽器は全く触ったことがなくて、ただ父親がギターをやっていたので、ギターを適当にいじったりくらいですね。(笑)あと、小中学生のときは和太鼓をやっていました。もしかしたら、その影響で DJ をはじめたときはトライバルとかが好きだったのかもしれないですね。
昨年は Protocol のメインレーベルと初契約
──去年 10 月の ADE の時期に発表された EP『Protocol Connect』に、YOSEEK と Stevie Krash とのコラボ曲 “All The Things” が収録されましたが、リリースまでの経緯を改めてお聞かせください。
Stevie Krash とは 2019 年の夏頃に何かきっかけがあって、インスタの DM でやり取りがはじまって、まずそこで 2 人で 1 曲作ったのが Glorie Records からリリースした “Wait4Me” という曲なんです。
その後も、何曲か一緒に制作はしたんですけど、ただ、なかなかお互い 100 パーセント納得のいくものができずに、なあなあになってるうちに、僕が東京に引っ越して、YOSEEK と一緒にスタジオに入って、そのときに 2 人で作ったアイデアを Stevie に投げてみたら、「なんかこれできそうだね!」みたいになって完成しました。ついでに言うと、あのボーカルって Stevie が歌ってるんですよ!Stevie のお父さんがポルトガルでめちゃくちゃ有名なシンガーさんで、その影響もあって、彼もしっかり歌も歌える人だったんです。そして「Protocol に送ってみよう!」ってなって、すぐに連絡が返ってきて、リリースすることが決まりました。狙っていたというよりは、本当に純粋に楽しんでみんなで音楽作って出来上がった曲でした!
──”All The Things”はキレイめなプログレッシブ・ハウスとなっていますが、なにかインスピレーションはあったのでしょうか?
僕と YOSEEK が Kryder とか Tom Staar が好きだったので、2 人の昔の楽曲とかをよくかけていました。特に、Tom Staar の “Bora” という曲があるんですけど「ああいう感じの雰囲気に作りたいね!」というのがあって「キーは “Bora” と同じにしてみよう!」というところから始まりました。
──リリースするときのモチベーションやテンションだったり、曲を出すときの意味などを考えますか?
インタビューの冒頭でもアイデアがないときはパソコンを開かないと話したとように、そのときの感情とか気持ち的に自分の中でエモかったんだと思います。モチベーションというか、やりたいことをやってるというのが正しい表現ですかね。狙うレーベルももちろんありますけど、どのレーベルがどういうものを求めているかでデザインや構成を考えたりします。それで言うと、今回の新曲 “Disguise” は Protocol しか狙っていなかったので、完全に一発で的中させたみたいな曲です!
最新曲は Protocol を狙い撃ちしたトランシーなプログレ
──去年のメインレーベルからの初リリースに引き続き、今回は “Disguise” でサブレーベルであるProtocol Labからの初リリースを飾りましたが、この曲のインスピレーションやサウンド面で意識されたことはありますか?
インスピレーションはないです!(笑)ただビートとベースラインは、今の Protocol のディープサイドのプログレを意識した打ち方をまず作ったんですけど、その後、メロディはその場で自分で音を楽しみながら、自分が感じたままに作ったものになっています。サウンドデザインは地合いが色々変化していく中で、プログレだけどビッグルームな感じじゃなくて、僕の中ではもっとトランシーな感じにしたくて、シンセのリードラインにフォーカスして作りました。Nicky Romero の別名義 Monocule を意識した部分もあって、そっちよりのディープサイドの方を狙おうかなと思っていました。
久しぶりのプロトコル🙌🏻 https://t.co/skPkhXENkh
— NORII (@thisisnorii) July 19, 2023
──新曲 “Disguise” は以前、NORII さんも拠点を置かれていたスペイン出身のプロデューサー Anekdote とのコラボですが、どのように知り合い、コラボにまで発展したのですか?また、制作に取り掛かられてから完成までどの位かかりましたか?
彼とはお互いの曲をサポートし合う中で、2020 年 5 月くらいから連絡を取り合うようになって、その年の ADE で初めて会って一緒に飲むことになったんですけど、そのときは「何か将来一緒にできたら面白いね!」くらいで特にコラボしようとかいう話はなかったんですよ。そして、去年の ADE かな?ほぼ毎日一緒にパーティーして仲良くなったのもあって、僕が日本に帰ってきてから作った曲を「こんな感じの雰囲気の曲どう思う?」というのを送ってみたら、向こうもやりたい!ってなって一緒にやったって感じですかね。ボーカリストの Ben Chaverin なんですけど、Ben がたまたまアメリカから日本に引っ越してくるってなって、Anekdote から Ben に「NORII が camelot で毎週 DJ してるから 1 回遊びに行ってみなよ!」みたいに言ってくれて、実際に Ben が遊びに来てくれて彼とマッチングして、すでにこのアイデアがあったので、せっかくだから皆でやってみようよ!から始まりました。アイデア自体は僕が 3 日くらいで作って、そこから一緒にやり始めて 1 ヶ月ぐらいでボーカルも全部終わりましたね。
約1年間、楽曲制作のスキルアップのためスペインへ
──スペインにいたときに音楽面で影響を受けたことはありましたか?
もともと僕、スペイン人が作る楽曲が好きで引っ越したのもあったんですけど、1 番変わった点で言うと、ジャンルとかそういう問題ではなくて、ダンスミュージックってデジタルで作られてる音楽だと思うんですけど、デジタルなんですけど、何かこう、人間が打ち込んでる、実際に演奏しているというようなグルーヴを感じさせるようなサウンドを意識するようになりました。デジタルのパソコンで作るのはもちろんなんですけど、何か少しズレているというか、そのズレが気持ちよく感じたりグルーヴに感じたりとか、感じるものなので言葉で表すのは難しいんですけど、それは意識するようになりました。
この投稿をInstagramで見る
──NORII さんはプログレッシブ・ハウスからハウス、テック・ハウスまで幅広く手掛けられていますが、ご自身の音楽スタイルを言葉で表すとしたら?
スタイルを言葉で言い表すとなると難しいですね~。4 つ打ちであれば何でも好きなんですけど、逆に言葉を欲しいくらいですね。本当は 1 個のジャンルをやるのがセオリーなのかなとは思うんですけど、1 個のジャンルをやるときは爆発的に売れたときでいいのかなとも思ったり。世界中の人が僕のことを知っているわけでもないので、だったら今は自分が好きなことを全てやって何かヒットしたときに、それをやろうかなと。あとは自分の DJ セットの起承転結のなかで、自分の曲をちりばめられるのも僕的にはポイントです。プログレだけ作っていて、1 時間の DJ セットの中で全部プログレだとお腹いっぱいになっちゃうじゃないですか。そういうのを考えたときに、僕のスタイルはどの時間帯をやっても自分のオリジナルティを出せるかなと思っています!
今後も新曲を立て続けにリリース!NORII が目指すところとは
──先月末は YoungTears と Qwerty を迎えたテックハウス・バンガー “Love Me” を TURNT からリリースされていましたが、今後予定されているコラボやリリース、イベント出演情報等があれば教えてください!
まず、今回の “Disguise” の後は、 8 月 11 日(金)に Dannic のレーベル Fonk Recordings からリリースします。その後も、レーベル名はまだ出せませんが、8 月 25 日(金)と 9 月 8 日(金)にもリリースが決まっています。Dannic のレーベルから出す曲と来月 11 日に出す曲はグルーヴ・ハウスになっていて、僕自身、Kryder が Sosumi をやっていたときから彼の音楽をずっと聴いていたので、ああいう昔のグルーヴ・ハウスを今風に作り変えた感じになっています。あと、9 月 8 日(金)に出す新曲に関しては、ベース・ハウスとテック・ハウスを混ぜたようなサウンドとなっていて、10 月か 11 月に Protocol からのリリースが決まっているアーティストと一緒に曲を作っています。
8 月 22 日(土)は SEL OCTAGON TOKYO、翌週の 8 月 28 日(金)は CLUB CAMELOT で回すので是非遊びに来てください!
──今最もコラボしたい DJ /プロデューサーや、リリースを目指されているレーベルはありますか?
コラボしたいアーティストは 5、6 年くらい前から仲良くしていて同い年でもある Corey James です。
昔、自分のレーベル(Sinka Records)からもリリースしてくれたこともあって、彼と仲良いのでいつでもコラボできる環境にはあるんですけど、100 パーセント彼より良い曲を作ったときにコラボのアイデアを送りたいですね。対等にいくまではなかなか言いづらいというか、もっと自分のレベルがアップしたときに Corey に送りたいです。
目指しているレーベルなんですけど、僕が作っているプログレ~テック・ハウスとか幅広く作っているスタイルからすると、Nicky Romero 自身も色んなジャンルをしているので、正直 Protocol が 1 番フィットしているように感じています。Protocol からのリリースを達成した今、憧がれているのは Size Records ですね。Steve Angello の弟さん AN21 と繋がっていて、曲のフィードバックとかもちょいちょい貰えるようになってきたので、そのうち出せればなと思っています!
──本日はお忙しい中、貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!これからのご活躍も楽しみにしています。今後、最新曲 “Disguise” の How To 動画もアップ予定とのことなので、公開されましたら、こちらでも紹介したいと思います!
HOUSE MUSICを軸とした北海道出演のDJ / PRODUCER。2016年には日本初のフリーダウンロードレーベル ”SINKA RECORDS” を設立。2020年1月から9月まで楽曲制作のスキルアップのためスペインのマドリードに拠点を変え、現在は日本在住。
契約レーベル
Nicky Romeroの ”Protocol Recordings“ / Hardwellの ”Revealed Recordings“ / Bingo Playersの ”Hysteria Records” / Kryderの ”Kryteria Records“ / Jeffrey Sutoriusのレーベル ”BODYWRMR“ / Robbie Riveraの ”Juicy Music“ / Thomas Goldの ”Fanfare Records” / ASCOの ”CAOS Label“
楽曲経歴 (日本)
コンサドーレ札幌 選手紹介曲 / BABY G (CM) / イオン (CM) / 浜崎あゆみ – BLUE BIRDのリミックス (浜崎あゆみオフィシャルYouTube企画の #ayumix2020)
出演経歴
ULTRA EUROPE 2018 (クロアチア) / D.O.D & Friends ADE 2018 (オランダ) / Merk & Kremont Daddy’s Groove ADE 2018 (オランダ) / Together Festival 2018 (台湾) / ULTRA JAPAN 2019 (日本)
コメントを残す