エレクトロニックミュージック好きの方なら、2012年12月26日にリリースされたAviciiとNicky Romeroのコラボ曲“I Could Be the One (Nicktim)”を知らない人はいないでしょう。
アヴィーチー & ニッキー・ロメロ
価格: 250円posted with sticky on 2018.10.23
MNN個人的にもAviciiの曲の中で5本の指に入るほど大好きな曲のひとつで、当時からこのAviciiらしい意味深なミュージックビデオに魅せられ今まで何度見たことか分かりません。
ほとんどのエレクトロニックミュージックはまず音楽のみリリースされ、その後ミュージックビデオが公開されることが多いと思いますが、ミュージックビデオと一緒に見ることでよりその曲が好きになるということがありませんか?
今後不定期ではありますが、過去の曲のミュージックビデオのロケ地だったり、ビデオに込められたメッセージ等を解説していくコーナーをしていきたいと思っており、まず第1弾としてAviciiとNicky Romeroのコラボ曲“I Could Be the One (Nicktim)”を取り上げてみました!
まずは簡単に曲の説明から。
この曲が初めて披露されたのは2011年の11月で、当時Aviciiがアメリカ・ワシントンにあるアリーナ、DC Armoryで開催された「Super Glow」でかけました。
その当時はまだヴォーカルが入っておらず、フランスのエレクトロニック・ミュージック・デュオ、Justiceが2007年にリリースしたセカンドシングル“D.A.N.C.E.”のサンプリングが使われていましたが、ファイナルバージョンではこの要素がなくなっています。
その後2012年11月に放送されたAviciiのラジオショー「LEVELS」及びNicky Romeroのラジオショー「Protocol Radio」でかけれらたときには、スウェーデン出身の女性シンガーソングライター、Noonie Baoによるヴォーカルが加わり、翌月”I Could Be the One (Nicktim)”としてリリースされました。
※(Nicktim)というのは、Nicky Romeroの本名「Nick Rotteveel van Gotum」とAviciiの本名「Tim Bergling」それぞれの名前から取っています。
Noonie Baoは、Aviciiのデビューアルバム『True』のデラックス版に収録されている“Always On The Run”やAlan Walkerの“Alone”, Alessoの“All This Love”, Don Diabloの“M1 Stinger”でもヴォーカルを務めています。
この”I Could Be the One (Nicktim)”には、AviciiとNicky RomeroのほかにAsh Pournouriという人物もプロデュースに携わっていますが、彼はイラン生まれのスウェーデン人プロデューサー/ソングライターで、2008年にAviciiを発掘してから2016年に至るまでマネージャーを務めていた人物としても知られています。
またAviciiのレーベル「LE7ELS」を実質運営していたレコードレーベル「PRMD Records」及びブッキング会社「At Night Management」のCEOで、Cazzetteの代表曲“Beam Me Up”でもソングライティングとして参加しています。
前置きが長くなりましたが、”I Could Be the One (Nicktim)”のミュージックビデオの大半は、カリブ海、西インド諸島内の小アンティル諸島東端に位置する島国、バルバドスで撮影されています。
バルバドスは南米大陸の上にある小さな島国で、バルバドスの観光大使にも就任されている人気シンガーソングライター、Rihannaの故郷としても有名です。
トロントを拠点に活動するミュージック ビデオ ディレクターのPeter Huangが監督を務めており、彼はNicky RomeroとVicetoneのコラボ曲“Let Me Feel”やMartin Garrixの“Now That I’ve Found You”, Cazzetteの“Sleepless”などのミュージックビデオも手掛けています。
Martin Garrix
価格: 200円posted with sticky on 2018.10.23
ミュージックビデオの内容は以下のような感じ。
カナダ出身のコメディアン/女優、Inessa Frantowsk役する主人公の女性は、朝起きて仕事に行ってという毎日繰り返されるつまらない日常、人生に嫌気が差しています。
そんなある日、目が覚めるといつもイラつきながら止める目覚まし時計がそこにはなく、隣には見知らぬ男性が寝ており、窓を開けるとバルコニーの向こうにバルバドスの美しいビーチが広がっており、部屋にあるToDoリストには「何も気にしないこと」と書いてあります。
そこではビーチを練り歩いたり、レストランでウェイターとキスしたり、クラブで踊りまくったり、男性とヨットで楽しんだりと欲望のままに生活しますが、それらは全て夢でまた同じ日常が繰り返されます。
精神科医に「学校に行って仕事に就いて家を買ってという誰かが決めた計画を押し付けられていて、まるで死を望んでいるかのようだ。」と相談しても「薬を増やしておきますね。」としか言われず。
オフィスのパソコンで「ONLY YOU CAN FREE YOURSELF(己のみが自分自身を解放できる)」という見出しのサイトで「TAKE BACK YOUR LIFE(本来の自分の人生を取り戻す)」ボタンをクリックすると、ついに彼女の中の何かが吹っ切れ、山積みの書類をぶちまけ、FAXを破壊し、同僚たちに中指を立て暴れまわり、上司を突き飛ばしてオフィスを飛び出します。
オフィスを出た主人公はあの夢を実現させるべく、電話でバルバドス行きの片道切符を手配して、車に乗り込もうと道路を渡ろうとしたときに、デリバリーサビースの車にはねられてミュージックビデオは終了します。
車体には「2Late(手遅れ)」と書かれており、一度負のスパイラルに陥ってしまったら、気づいたときにはもう遅いという深いメッセージが込められています。
精神科医と話しているのシーンで“All I’m really doing is dying(死を望んでいる)”と言っているように、最終的に彼女が望んでいた通りになったという意見もあります。
曲全体を通してストレスを抱え込まずに時には自分自身を解放させることの大事さ、また“I could be the one to set you free(あなたを解放できるのは私だけ)”という歌詞からも、自分がストレスやプレッシャーで潰れそうになときに全てを話せ信頼できる誰かがいてくれることの大事さを伝えているのかなと感じました。
このミュージックビデオのなかで、主人公がホテルの窓を開けたときに広がる風景が素敵なのですが、バルバドスの東海岸にあるホテルらしいですが、いつかここからの風景を生で見てみたいです。
また主人公が山の頂から島の輪郭が分かる景色を見下ろしていますが、ここはCherry Tree Hillという場所で、カナダのロックバンド、Simple PlanがSean Paulらをフィーチャーした“Summer Paradise“のミュージックビデオでも登場します。
バルバドスはビーチから美しい夕日が見られることでも有名で、主人公が浜辺で男性と共に馬に乗って駆け巡るシーンからもその美しさが伝わってくると思います。
バルバドスでの撮影は2012年12月12日・13日に行われたのですが、Aviciiがその期間にバルバドスにいる人でミュージックビデオに出演したい人の募集をかけたことで、一般の人たちも多数出演しています。
バルバドスは手付かずの自然が多く残っている一方、街中にお洒落なアートがあったり、南米独特の陽気な雰囲気も漂っており、自身を解放させる旅の目的地としても最適な場所です。
興味がある方はぜひロケ地巡りをしながら、バルバドスの魅力に浸かってみてください!
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