
MNN 個人的に気になっている DJ /プロデューサーの紹介記事を書くのはめっちゃ久しぶりとなりますが、今界隈でも人気急上昇中のフィメールアーティスト CHYL について取り上げたいと思います!
アドレナリンが放出されるようなスピード・ハウスがカッコよくて、前々から幾つか曲は聴いていましたが、ちょっと前まで CHYL が女性ということすら知らなかったので、自分自身の学びの意味も込めて書き綴ります!
CHYLとは
CHYLとは、中国系カナダ人の DJ 兼音楽プロデューサー。
ステージネームについてですが、リアルネームである Rachel を省略したものになっており、フレンドリーで親しみやすい印象を与えたいと思い付けたそうです。
15、16 歳まで中国で育った後、大学に通うためにカナダに引っ越した CHYLは、コロンビア大学で金融の学位を取得。大学卒業後は、モルガン・スタンレーで銀行員として働いていましたが、嫌で嫌でたまらなかったのだとか。
次の章でも軽く触れますが、気分転換や現実逃避のためにスタートしたのが、DJ ならびに音楽制作だったのです。
当時の元カレから “Lean On” を教えてもらい、まだ Diplo や Major Lazer が誰かすら知らなかったものの、その曲に魅了され、数え切れないくらい聴き込むほど夢中になり、エレクトロニック・ダンス・ミュージックの虜になった CHYL 。
その後、Eric Prydz をはじめとするプログレッシブ・ハウスへと興味が移行しますが、そういった影響もあり、自身も DJ /プロデューサーを目指すのは自然の流れだったと言えます。
銀行員として働きながら、複数の DJ クラスを受講。DJをするにつれて、制作の側面にも興味を持ち、もっと学びたいと思い、YouTube で音楽制作を学んでいましたが、それだけでは不十分だと感じ、2021 年に LA の ICON Collective に入学。
銀行員からフルタイムの音楽プロデューサーへの移行は想像以上に過酷で、最初の数年間は全く結果も得られず、将来への不安と不確実性に満ちており、自身も両親もストレスを感じていました。
しかし、ストレスは多くても音楽作りそのものを徹底的に楽しみ、制作の進歩を日に日に感じていたため、銀行員のときより充実した時間を過ごしており、約 5 年間音楽を作った後、CHYL プロジェクトを本格的に始動させたのです。
ICON Collective 卒業後は、ハウスのグルーヴでサウンドデザインを披露できるという理由で、ベース・ハウスを大量に作っていましたが、ある日、ベース・ハウスをスピードアップさせてみよう!という考えが生まれ、以降、スピード・ハウスが生み出すアドレナリンに恋をして、スピード・ハウス一筋となりました。
有名な曲とスピード・ハウスのドロップをミックスさせたマッシュアップや、途中でベース・ハウスやテンポの遅い曲を挿んで緩急をつけることで、超高速で楽しい体験ができるのも CHYL の魅力のひとつですが、インスピレーションを受けたアーティストとして、JOYRYDE や Habstrakt, Julian Jordan, Wuki, Knock2 の名前を挙げています。
今では BPM 150 のスピード・ハウスのパイオニアとして名を馳せており、脈動するベースラインと高エネルギーな激しいドロップ、そしてメロディックなボーカルを組み合わせることで、様々な感情とダイナミクスを生み出しており、献身的なファンベースを獲得するとともに、Steve Aoki や Habstrakt, Ghastly, Wuki, JSTJR など、さまざまなトップアーティストたちからもサポートされました。
2022 年は、Kanye West の “Mercy” のブートレグがバイラルヒットしたほか、Insomniac 主催の Countdown NYE のメインステージでのデビューパフォーマンスを果たすなど、飛躍の年となりました。
そのほか、Monstercat や Bassrush, Dim Mak などの著名レーベルとも契約し、Henry Fong とのコラボ曲のリリースも控えていたり、Steve Aoki とは B2B セットを披露したり、公式リミックスを提供したりと、この先も快進撃はどんどん続きそうです!
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音楽シーンへの参入はAviciiの影響もあった!?
Avicii の存在が、CHYL に金融の仕事を離れ、本格的に音楽キャリアへ進む後押しになったといいます。
CHYL がカナダに来て初めてエレクトロニック・ダンス・ミュージックを聴いたとき、自身の体の中の火が点火したような衝撃を受けたそうです。
ダンスミュージックへの情熱に気付いたにもかかわらず、CHYL はコロンビア大学を卒業した後、ウォール街でのキャリアを選びましたが、毎日がストレスで、働いて 2 年目のときに、金融以外の趣味を始めるべきだと考え、 DJ レッスンを受け始め、音楽制作にも取り組むようにもなりました。
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よく聴いていたアーティストのひとりで、自分にとってのアイドルのひとりでもあった Avicii が亡くなって初めて、CHYL はフルタイムで音楽を追求するべきだと気付かされたそうです。
「人生はとても短いから、好きなことを追求しなければいけない!人生何が起こるかなんて誰にも分からないのだから!」と思い立ち、2019 年に銀行員の仕事を辞めて、自分の情熱のために生きる決心をしました。
ダンスミュージック制作への情熱を追求するために投資銀行での有望なキャリアを放棄しましたが、それ以来、CHYL は急成長を遂げており、エネルギッシュなトラックで世界中のファンを魅了しています。
ちなみに、銀行での勤務で得た唯一のものは厳しい規律だと語っており、DJ/プロデューサーとなった今も仕事のスケジュールに関してはきっちりと管理し、働く時間とプライベートの時間も明確に確立・区別しているそうです。
F1マニアで自身のブランディングにも採用
まず見ていただきたい下の動画は、CHYL がトロントのショーで流したイントロですが、自ら F1 の有名ドライバーに成り切った映像がなんとも笑えると同時に、スタートからフルスロットルでヤバい盛り上がり方をしています。
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CHYL のアートワークだったり、SNS を見ても分かるように、色んなシーンでレーシングカー(レーシングバイク)をモチーフにしているのが分かります。
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F1 を題材とした Netflix のドキュメンタリーを見てレースの大ファンになったそうで、欠かさず観ているのだとか。
Reddit の AMA に出演した際に熱く答えていましたが、最もお気に入りのドライバーは、Kimi Räikkönen 。お気に入りのチームカーのデザインはマクラーレンで、あのオレンジの車体と Google Chrome のホイールがキュートだとのことで、レースに恋しているのがヒシヒシと伝わってきました。笑
ということで、F1 にインスパイアされたレーシングブランドは、CHYL のユニークなアイデンティティにもなっています。
Haus of Panda と ALRT によってスピード・ハウスの存在を知り、沼らせられたそうですが、テンポの速いスピード・ハウスは、レースの概念と結び付く部分があると感じ、F1 もスピード・ハウスもアドレナリン、エネルギー、力強さという共通点があり、自身もそのような興奮を観客に与えたい!呼び起こさせたい!という想いが、現在のブランディングを形成しているのです。
そんなスピード・ハウス界のパイオニアでもある Haus of Panda とはすでに “Ignite” でコラボを果たしているのですが、スピード・ハウスをもっと盛り上げるためにも、そのシーンのアーティスト同士がお互い協力してコミュニティの強さを示すことの重要性も説いています。
しかし、CHYL の 1 番の目標は、親しみやすくファンの皆と繋がりやすいブランディングを目指しているとのことで、人々が自分のプロフィールを見て、音楽を聴いたときに、楽しくて共感できる人間だと思って欲しいし、自分のライブパフォーマンスを聴いている間は、本業のことは一切忘れて、1 時間子供のようにはしゃいで思い出に残る体験をしてくれることを願っているとのことで、人柄の良さも人気の秘訣だなと感じました!
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