今月はじめに、福岡・京都・東京と日本 3 都市でのツアーと合わせて新コンセプト企画「CNNCT」を開催し、日本のファンたちとのワークショップやポップアップ展を通じて交流の場を設けてくれた Lucas & Steve。
そんな 2 人にダンスミュージックに触れたきっかけや、お気に入りのプラグインや大好きな日本で好きな場所やクラブ、今後リリースを控えている Steve Aoki とのコラボリミックスや “世界に一つだけの花” リミックスの誕生秘話、プロデューサーを目指す人たちに向けた有益なアドバイス、今後の目標など色々聞いたので、下のインタビューから是非チェックしてみて下さい!
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Q:今回はお時間を作っていただきありがとうございます!最初の質問です。お二人はどのようにしてエレクトロニックミュージックに触れたのですか?何か楽器をされていたのか、また、どのようにして音楽を作り始めたのか教えてください。
LUCAS:オランダでは生まれたときからエレクトロニックミュージックやダンスミュージックに触れる機会が物凄く多かったんだ。日常生活で常に耳にする機会が多いし、色々な場所でも音楽に触れ合えるシチュエーションがあったね。自分たちが育った時代では、例えば Tiësto や Armin van Buuren などのアーティストの曲がメディアでは沢山流れたりしてたよ。
STEVE:オランダの文化のひとつだね。様々なフェスティバルや音楽祭が 1 年を通して行われているから、そういった事がひとつの国の文化となりつつあるね。
LUCAS:楽器だけど、まず 5 歳のときにドラムを習い始めたんだ。母親がプロのピアニストだったから 8 歳のとき、母にピアノを習いなさいと言われ、数年前にはギターも習い始めたし、実際に PC 上での楽曲制作に触れ始めたのは 10 歳か 11 歳のときだよ。
STEVE:そうだな。自分も 11 歳ぐらいから PC 上での楽曲制作に触れて、その後、音楽の専門学校に行ってピアノを学び、専門のエレクトロニックミュージックに関してもその学校で学んだね。
Q:子供の頃から知り合いだったのですか?
STEVE:LUCAS が 2 歳年上だったから学年も上で、それぞれ 8 歳と10 歳のときに同じ小学校に通っていたんだけど、お互い存在は知っている程度だったんだ。自分たちの出身、マーストリヒトは南オランダにあるとても小さい街で小さいコミュニティーだから人との繋がりは密接でね。LUCAS がその街のクラブで最初プレイし始めて、金曜日の夜に新しい DJ を探していると聞いて、自分もそのクラブでプレイを始めたんだ。そこから 2 人の音楽活動は本格的に始まり出したんだ。
Q:DJ とプロデュースどちらを最初にスタートされましたか?あと、普段どの DAW を使っていて、お気に入りのプラグイン等があれば教えてください。
LUCAS:難しい質問だね(笑)8 歳の時に使っていたピアノにレコーディング機能とドラムループサンプルの機能が付いていて、そこでメロディやコードをレコーディングし始めたんだけど、その後 11 歳になってから DJ を始めたんだ。ただ当時は今のような機材が無く、ディスクマン(ポータブルCDプレイヤー)とミキサーを繋いでそれらしい事をしていたね(笑)
STEVE:自分も大体同じで最初に音作りから入ったかな。10 歳ぐらいの時に初めて所有した学校用のノートパソコンを使って、当時は確か Fruity Loops かな?をいじり始めだんだけど、今では Ableton Live を使っているよ。
LUCAS:サウンドデザインでは本当に色んなものを使うんだけど、プラグインに関しては SERUM とか NEXUS や SPIRE などを用途によって色々使い分けてるかな。
STEVE:うーん難しいな、これを言ったら自分たちの秘密をバラすような感じだけど、Ableton の中にある multiple compressor などを使い分けてるよ。
Q:自分たちの音楽を言葉で表すとしたらどのような言葉になりますか?
LUCAS & STEVE: Uplifting , Energetic, Molodic(高揚感、エネルギッシュ、メロディック)だね!
Q:Conor Byrne を迎えた新曲 “What We Know” も素晴らしい完成度ですが、この曲はどのようにして生まれ、どのくらいの制作期間がかかりましたか?
STEVE:この曲でフューチャリングしている素晴らしい声の持ち主のアーティスト Conor Byrne から最初デモをもらって、その時点ではピアノバージョンだったんだけど、初めて聴いた時は歌い方や声が何かとてつも無く素晴らしい物だなと確信したんだ。だから最初はボーカルの部分だけを先に送ってもらい、そこから自分たちでしっかり時間をかけてプロダクションに繋げていったんだ。ボーカルの部分がこの曲を作るに当たって一番大事な要素だからね。その次のトラックとの相性や音の調整などはとてもスムーズにいったから比較的早く制作が進んだよ。
LUCAS:この曲に関してはミックス、マスター、コンセプト色々含めると数ヶ月かかったのかな。
STEVE:曲だけの制作に関して言えば 2 週間ぐらいで 85 %〜95 % 完成して、そこから少し寝かせてレーベルサイドに聴いてもらい、実際のリリース日はその 4 週間後ぐらいになって決定、みたいな流れだったかな。
Q:Lucas & Steve の数ある曲のなかで個人的に一番好きなのは “Anywhere With You” なのですが、お二人が制作した曲で一番好きな曲は何になりますか?
LUCAS:うーん、フィーリングで言うと大分昔作った曲の “Say Something” かな。日本でプレイしても物凄く盛り上がる曲で、自分たち的にも物凄く思い入れがある曲だし、プロセスだったり意味合い的にも印象に残っているんだ。日本でも新宿の WARP や福岡の Ibiza、京都の KITSUNE でプレイしてもクラブがひっくり変えるぐらい盛り上がったし、日本での数日間の経験を踏まえるとこの曲になるね。
STEVE:AFROJACK との制作出来たのは本当に良い経験だったしね。2 年前のアルバムからの 3 枚目のシングルになるけど、自分個人的には “I Want It All” かな。
Q:ここ数年でどう自分の音楽が進化したと思いますか?
STEVE:音や曲自体、成熟してると思うし、人としても凄く成長できてると思うんだ。制作に関してもより洗練されているのを感じるし、メロディアスでエネルギッシュな音を作り上げながら、時にはダークなイメージの物を作ったり、4、5 年前に比べて幅の広さと深さを表現出来ているかなと思ってる。
LUCAS:制作に関して言えば、今はどのような音を作るべきか、完成したらどの様になるかがある程度最初から想像して把握出来ているかなと思うから、その終着点に向けて制作を進めている感があるんだ。これが 5 年前だとアイデアやビジョンはまだはっきりしていなかったり、制作過程でも A から B に辿り着くスキルを持っていなかったから、今は無駄なく素早く制作に取り掛かれているよ。
STEVE:ちょっと付け足すと、5 年前はまだ荒削りでもあって、そこから自分たちも色々なことを学んで、吸収し、成長に繋がったから、そのプロセスは凄く大事だったと思う。何事もそうだけど、過程が貴重な経験をもたらし成長に繋げてくれるから、自分たちにとってはある意味未完成な状態は良い事だったと思っているよ。
Q:コラボをしてみたい、アーティスト、シンガー、プロデューサーはいますか?そして今現在、進行中の未発表作品はありますか?
LUCAS:また秘密を明かしちゃうみたいだね(笑)今現在、実は Steve Aoki と色々絡んでいるんだ。夢が叶ったような出来事だけど、コラボレーションリミックスを一緒に手がけてるんだ。まだリリースは日も公表できないんだけどね。 Steve Aoki とは他にもプロジェクトがあるから自分たちも今後の展開がとても楽しみだよ。
Q:日本ツアーでもプレイした Steve Aoki との作品はオリジナルではなく、オフィシャルリミックスになるのでしょうか?
LUCAS:中国のシンガー JJ Lin との曲 “The Show” のコラボリミックスなんだ。Steve Aoki がこの曲のリミックスをやらないかと持ち出してくれたんだ。去年、ラスベガスで一緒に遊ぶ機会があってそこで意気投合し、このプロジェクトに繋がったんだ。会って数日後に彼からアイデアがあるんだけど、この曲のリミックスをやらないか?と言われ、聴いた瞬間めちゃくちゃインスパイアされたよ。ちょうど時間もあってクリエイティブなものも作れるタイミングで 2 日後ぐらいにデモを送ったね。彼もそのレスポンスの速さにビックリしてて、現在色々な所でプレイしてくれてて、これからがとても楽しみだよ!
そして今回、日本で実施した「CNNCT」というプロジェクトだけど、日本に来る度に、クラブなどで出会う人や仲良くなる人が本当に面白くて良い人ばかりだから、日本で何かコラボを実現する事が夢のひとつだったんだ。日本で会うアーティスト、プロデューサー、ローカルな方々と繋がって、新たな取り組みをしていきたいし、日本のアーティストとはまだコラボした事が無いし、J-POP のイベント、ダンスミュージックイベント等で幅広く何かできたら嬉しいよ。
Q:影響を特に受けたアーティストやミュージシャンはいますか?
LUCAS:自分は様々なジャンルやスタイルから影響を受けたね。ジャズやクラシック音楽も沢山聴くし、世界中のポップミュージックも聴くし、幅広いジャンルを聴いて、Lucas & Steve のスタイルにブレンドするならこうしたい等のインスピレーションを受けているんだ。特にひとりのアーティストを挙げるのは難しいけど、挙げるとしたら昔の Tiësto かな。自分が 10 歳ぐらいのときに『Just Be』と言うアルバムが出たんだけど、そのアルバムを聴いたのがダンスミュージックにのめり込んで楽曲制作をするきっかけのひとつにもなったんだ。
STEVE:自分の場合は Avicii はもちろんだね。ダンスミュージックとポップミュージックのクロスオーバーが素晴らしいし、あとFATELESSも凄く好きだな。
Q:今年は “Warp,” “BANG!,” “LFG” といった沢山のフロアウェポンをリリースされましたが、普段と音楽スタイルを変えた意図はあったのでしょうか?
LUCAS:音楽のスタイルを変えていく理由としてはプロデューサーとして成長したいと言う理由があるんだ。数年前ファーストアルバムをリリースしたときは、メロディ中心の一定のジャンルの曲を作り、Lucas & Steve の基盤となる作品が出来たけど、時にはコンフォートゾーンから抜け出して、自分に対して新しいチャレンジをする事が必要だなと思ったんだ。特にコロナによる世界的パンデミックの時期は、クラブが営業出来なかったからクラブヒットの曲を作る事は全く意味が無かった。パンデミックが落ち着き、またクラブやライブを再開したときには、いかに自分たちがクラブミュージックを必要としていたのか再確認したよ。心から制作したいと思えるクラブミュージックは自分たちのセットにも絶対必要なんだ。だから新曲 “What We Know” も Club Mix バージョンをリリースしたし、ツアーでプレイして実際にクラブで聴いたり皆んなのリアクションやフロアでの踊り方を見て、曲の展開やキック、ベースをもっとこうしようなど、少しずつアレンジしながら徐々に完成形に近づけていきたいね。
STEVE:特にクラブバンガーが自分たちのセットに足りていないという事を再確認したんだ。だから自分たちのセットのためにも、エナジーを付け加えた Club Mix を作ったんだ。メインステージでお客さんを満足させるクラブヒットが必要だし、特にフェスの時期にはそのような曲を準備して備えるのが今年は大切だと考えているよ。
Q:SMAPの “世界に一つだけの花” のリミックスも話題となりましたが、この曲をどうやって知ったのですか?また何故この曲のリミックスをやろうと思ったのですか?
LUCAS:色んな人にこの曲の事を聞かれるよ(笑)
STEVE:2019 年に日本人の友達に聴かせてもらったのが初めてかな。最初の印象は曲のメロディが物凄く好きで正直歌詞は全く分からなかったけど、メロディが特別に聴こえたから、リミックスを作ろうとなったんだ。また日本に来るときに何か特別な事をやりたいと言う気持ちもあって、全ての会場に足を運ぶお客さんもいるから、そういった人々にも特別感を出したかったというのもあるよ。最初にこのリミックスをプレイしたときの皆んなのリアクションが物凄くて、いつリリースされるの?とか沢山聞かれまくったよ。実際にこのグループに会ったことも無いし、ここまでの反響があると思わなかったから自分たちもビックリしてるよ。毎回プレイする度に少しづつアレンジも加えてどんどん完成度を高くしていってるので、もしかしたら今後 YouTube 用にリリースをするかもしれないよ。
世界に一つだけの花(Lucas & Steve Remix)よすぎた pic.twitter.com/y217ndgGBM
— lates (@lates_official) December 31, 2022
日本人でこの曲を知らない人はいないんじゃ無いかなってぐらい有名な曲だから本当に良い曲を選んだと思います!
LUCAS:原曲のメロディが本当に素晴らしくて、聴いたときから好きになったんだ。グループの事はあまり知らないけど、きっと他の曲も素晴らしいのだろうと思うよ。YouTube に載せてその後どうなるか様子を見ようかなと思ってるよ。
Q:どこの箱やイベントでのプレイが一番印象に残っていますか?もう一度プレイしたい場所はありますか?
STEVE:WARPでは毎週末プレイしたいね!(笑)Tomorrowland では 5 回くらプレイしたけど毎回素晴らしいし、去年のマイアミでの ULTRA も深く印象に残ってるよ。日本だと ageHa や WARP が特に好きかな。この間の WARP の盛り上がりも異常だったよ!
LUCAS:京都、福岡も本当に盛り上がって、毎回日本に向かう飛行機に乗る度に日本では楽しい思い出が作れる事間違いなしだから本当に嬉しいよ。クラブで出会う人もそうだけど、クラブ以外で出会う人たちも誰もが素晴らしくて本当に君たちのことを愛してるよ!
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Q:日本で一番好きな場所は何処ですか?
STEVE:日本で一番好きなのは京都。街全体がとても美しいからね。
LUCAS:訪れたどの都市も好きで、それぞれに理由があるよ。日本全体に言えることはどの都市に行っても、それぞれの食文化や地域特有の食べ物があるのが素敵だね。宮島に訪れた旅館や美しい自然は、大都市と違った良さがあって本当に美しかったよ。
Q:プロデューサーを目指す人たちに何かアドバイスや秘訣はありますか?またクオリティーの高い曲を作るにあたってヒントなどあったらお願いします。
LUCAS:うーんそうだな、プロデューサーはそれぞれのやり方があるから、よりパーソナルな感じになるかもだけど、自分個人的にはシンセサイザーをより熟知することかな。ハードウェアのアナログシンセにしてもプラグインにしても、両方 0 から 100 全てを理解すること。全てのノブ(つまみ)が何の機能を果たすかなどを理解するとオートシンセサイザーを理解し使いこなすのが簡単になるし、オリジナルの音がどう生み出されるかにも繋がる。オリジナルの音が出せることで、他とは差別化出来るし自分特有のものが生み出されるから大事な要素と言えるよ。
STEVE:そうだね。オリジナルの音を持つのは大事な要素だね。ある意味、自分の ID を所有してるよな感じだよね。最初は人の真似をするなと言ってたんだけど。
LUCAS:でも実際にはするべきだよね(笑)
STEVE:以前は人のスタイルを真似をするなと自分たちも言ってたんだけど、人の真似をすると様々なことを学べて得るものがあるから実際やるべきでもあるんだ。好きなトラックがあったら、それを再現しオリジナルより良いものを作って後に自分の物にすると良いよね。実際にトラックを再現したりリクリエイトすることによって、曲制作のプロセスを沢山学べるし。この手法は自分たちも使っていて、様々な音を自分たちでリクエイトしてリミックスを作ってるよ。実際にその作業が自分たちのクリエイティブな部分に繋がってることもあるし、既存のヴォーカル、トラックを利用してミキシングすることによって、より良い音を作ることも出来る。もちろん人の物を盗むのは良くないから、ちゃんとリクリエイトして再構築し、自分の味付けを加えて自分の音を生み出すのが大切になるけどね。
LUCAS:リクエイトすることによって学べることが本当に多いからとても大事だし、音を再現することによって自分の耳を使うようになるから成長出来るんだ。耳が何よりも大事なプラグインだし、同時に一番優れた楽器だと言えるね。
Q:2023 年も残すとこ数ヶ月ですが、新曲リリースなど期待できることがあれば教えてください。
STEVE:完成されているトラックのストックが沢山あるから、どの曲をリリースするかを選ぶ作業があるんだ。クラブ向けの曲だったりポップ向けの曲だったり、Steve Aoki とのコラボ以外にも他のアーティストとのプロジェクトもあるよ。
LUCAS: アルバムからの曲 “Another Life” のハンズアップ系フェス用のリミックスも YouTube でリリースするし、Philip Strand との新曲 “Best Of Me” も iTunes 上で好調だし、今年の残りの期間でも何かとリリース出来たらいいなと思ってるよ。
Q:Lucas & Steve にとって今後の目標などはありますか?
LUCAS:うーん、そうだな、面白いコラボが出来たら嬉しいかな。長い目で見て有名なポップスターと曲を出したり、ありがたいことに様々な素晴らしいプロデューサーとはコラボできたので、また AFROJACK や Steve Aoki ともコラボしたいし、Tiësto のようなアーティストとのコラボも実現出来たら嬉しいな。また、世界中を旅出来るのが本当にありがたいことだし、引き続き良い音楽を作っていきたいと思うよ。
STEVE:自分も付け足す事ことはあまりないけど、引き続き DJ やプロデューサーとのコラボを実現しながら、自分たちの曲でチャートの 1 位を取ってみたいね。また、ULTRA や Tomorrowland のような大きなフェスで大トリを務めてもみたいね。
LUCAS:そうだね。デカいフェスで大トリを務めてそれが当たり前になることが、ある意味人生の目標でもあるかもしれないね。
本日はお忙しい中、貴重なお話を沢山聞かせていただきありがとうございました!
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