ULTRA JAPAN 2023に出演が決定したKenny Beatsと言えば、今やヒップホップシーンに欠かせない超人気ビートメイカーとして有名ですが、実はキャリア初期の頃は、LOUDPVCKの一員としてEDMシーンで活躍していた実績を持っています。
今回、LOUDPVCK時代の活躍や同じくULTRA JAPAN 2023に出演するSkrillexとの関係に焦点を当ててみました!
Kenny Beatsとは
Kenny BeatsことKenneth Charles Blume IIIは、アメリカ・コネチカット州出身のヒップホップ・プロデューサー/ビートメイカー。
ラッパーに音楽的影響を受けた部分が大きく、具体的にはTravis Scottや808 Mafia の名前を挙げているほか、ダンスミュージックシーンだとGTA(現 Good Times Ahead)やMr. Carmackからもインスピレーションを受けたと語っています。
幼い頃から両親と一緒にたくさんの音楽を聴いて育ったKenny Beatsは、楽器を演奏することにとても興味があったそうで、9歳からギターを、11歳からドラムも始め、高校1年生のときに、Fruity Loopのデモ バージョンをダウンロードしてからは音楽制作の虜に。
高校の授業でLogicやGarageBandを使った音楽制作のコースを受講したことで、コンピューター上で自分の音楽を作り上げることにさらに夢中になり、高校3年生のときには、全米音楽教育協会(NAfME)と全米教育委員会協会(NSBA)主催の全米電子音楽コンペティションに出場。
このコンテストで2位を獲得したことをきっかけに、真剣に音楽キャリアの道を進むことを決意しました。
キャリアをスタートさせて割とすぐにSmoke DZAとのコラボに漕ぎ着くことができたのですが、その成功した方法としてインタビューで「たくさんインターンシップに行って、たくさん大麻を売ったこと」だと堂々宣言しています。
RCA RecordsやJ Recordsでもインターンをしましたが、Jonny Shipesによって設立されたレーベル Cinematic Music Groupでのインターンがきかっけで、Smoke DZAの4枚のアルバムでコラボすることになったし、ボストンのスニーカーショップで行われたサイン会で、Ab-SoulとScHoolboy Qに大麻を売ったときに、Ab-Soulに無料でたくさんの大麻をあげたことで、その場に長居させてくれて、ついでに作ったビートを幾つか聴いてもらったところ、気に入ってもらい、それが後の”Hunnid Stax”と”Party”になったのです。
2011年、彼が19歳のときにはKendrick LamarとSmoke DZAによる”Ball Game”でプロデューサーとしてクレジットされたことでも脚光を浴びましたが、そのまま順風満帆というわけにはいかず、大麻を売りながらラッパーにビートを提供するよりEDMプロデューサーとして世界を旅しながらショーをする方が稼げることに気付き、音楽学校で知り合った友人とLOUDPVCKを結成し、音楽業界におけるビジネス面での立ち回り方についても学びました。
LOUDPVCKは2017年に解散するのことになるのですが、LOUDPVCKについては次の項目で深堀するとします。
LOUDPVCKとして成功を収め、LollapaloozaやEDC, Electric Forestなど世界有数の大型フェスにも複数出演しましたが、ある日、オーストラリアにいたときに自分が本当に大切にしているものでも、将来残したい遺産でもないことに気付いたのが解散の決め手だったそうです。
解散後は、自分が本当に作りたかった音楽にもう一度取り組むことを決意し、ボーカルプロデュースの方法や現代ヒップホップについて学びながら、約6か月間毎日、ロサンゼルスのバーバンクにあるスタジオにこもって一日12時間から14時間ラップ・ビートを制作。
その後、”Trust Issues”や”Smack A Bitch”などのヒット曲を生み出し、アメリカ出身のフィメールラッパー Rico Nastyの実績に大いに貢献したり、アトランタのラッパー HoodRich Pablo Juanのミックステープ『South Dark』にも全面的に協力。
Vince StaplesやJPEGMAFIA, Denzel Curry, 03 Greedo, Young Thug, Joji, Gucci Maneなどの人気ラッパーたちに楽曲を提供したほか、Ed Sheeranともコラボを果たし、英国ポスト・パンク・バンド IDLESのプロデュースまで手掛けるなど、多彩な才能と弛まぬ努力で再び成功を手にし、Rolling Stone誌からは”ラップ界のセラピスト”と賞賛されています。
2022年8月にはパンデミックや父親の病気をきっかけに制作したというソロデビュー・アルバム『LOUIE』をXL Recordingsからリリースすると、世界をリード据える音楽メディア MusicTechの”Album Of The Year 2022″に選ばれました!
Kenny Beats自身にとっての信条でありスローガンである言葉があってそれが、D.O.T.S.(Don’t Over Think Shit:くだらないことを考えすぎるな)。
マネージャーから言われた言葉だそうで、いつも考えすぎてしまうKenny Beatsが大きな決断を迫られ狂いそうになったときに、一旦自分をリセットさせるためにも大事にしている言葉とのことで、今では自身のイベントやブランド、グループだったり、自身の公式ホームページのタイトルなどにもこの言葉を起用しています。
公式ホームページのメニューで「The Cave」という項目がありますが、Kenny Beatsは自分のスタジオのことを「The Cave」と呼んでおり、2019年3月からは同名のYouTubeシリーズもスタートさせており、幅広いアーティストをスタジオに招いて即興のビートにラップを乗せるクリエイティブなパフォーマンスを見ることができるのでオススメです!
その他、Kenny BeatsはCoachellaやBoiler Roomにも登場していますが、今年2月にアムステルダムのParallelに出演した際のセットがCoachellaのセットと似ており、ULTRA JAPAN 2023の予習としてピッタリかと思いますので、聴いてみて下さい!(ヒップホップトラックと上手く繋ぎながら、Skrillexの”RATATA”, “Rumble”, “XENA”だったり、Fred again..とSwedish House Mafiaの”Turn On The Lights Again..”やACRAZEの”Do It To It”などもかけています!)
LOUDPVCKを結成し、OWSLAからもリリース!
Kenny Beatsはニューヨークからボストンに移り、バークリー音楽大学でジャズギターと音楽ビジネスを学びましたが、大学在学中にRyan Marksと出会い、2012年にEDMデュオ LOUDPVCKを結成!
ちなみに、もうひとりのメンバー Ryan Marksの父親はプロデューサー兼ソングライターだった影響から、幼い頃からピアノのレッスンを受け、18歳のときにAbletonを手に入れてからは音楽制作に夢中になり、LOUDPVCKを結成する前からRyan Marksとしてソロで活動していました。
在学中、Kenny Beatsは音楽制作とエンジニアリングを目指していて、授業でDTMやDJ機材に触れたことがなく、Ryan Marksもジャズピアニストへの憧れがあたっため、まさかEDMシーンで活躍するDJになるとは夢にも思わなかったそうです。
そんな2人はデュオ結成後、NGHTMREやZeds Deadなどとコラボしたほか、The ChainsmokersやMajor Lazerに公式リミックスも提供するなど、ベースミュージック、主にトラップシーンを中心に活躍し、FlostradamusやSkrillexなどからのサポートを得ました。
Kenny Beatsは13、14歳の頃、初期のJeezyやShawty Redd, Zaytovenといった恐らく今で言うトラップに分類されるであろう音楽を聴いていましたが、UZやBaauerの曲がトラップと呼ばれるようになった頃、その波が到来し、相方であるRyan Marksが自身の楽曲”Fiji”を聴かせてくれたことで、すぐさまトラップを中心としたプロジェクトをスタートしよう!となったそうです。
アメリカ出身のデュオ、Gladiatorとともにサイドプロジェクト GLADPVCKを結成して曲やアルバムまでリリースしたこともあります。
Ryan Marksは2017年11月にグループを脱退し、Kenny Beatsも自分がやりたい音楽を作っていないことに気付き、LOUDPVCKは解散し、これを機にKenny BeatsはEDMプロデューサーからヒップホッププロデューサーへと転身したのです。
EDMシーンはプロデューサーにとって非常に競争力があり高いレベルだったと過去を振り返っており、ヒップホップ界では誰もしらないようなトリックの数々を携えてラップミュージックに戻ることができた点など、LOUDPVCKとして過ごした時間はとても有意義で、EDMシーンで得られたことは多いそうです。
SkrillexやFred again..とも昔から交流あり!
LOUDPVCKとして活動していたとき、NGHTMREとのコラボ曲”Click Clack”をSkrillex主宰のレーベル OWSLAから出したこともあるKenny Beats。
have you heard this new banger by @loudpvck and @nghtmre? https://t.co/NoLiIMNkF3 pic.twitter.com/ns70j1pgMm
— Skrillex (@Skrillex) October 11, 2016
Ed Sheeranが2019年に出したアルバム『No.6 Collaborations Project』にも収録された”Take Me Back to London”という曲で、Kenny BeatsはSkrillexと共同プロデュースで参加しました。
ちにみに、”Take Me Back to London”にはFred again..もプロデュースでクレジットされているだけでなく、Fred again..とKenny Beatsは、2022年にロンドンで無料のポップアップ・レイブを一緒に開催したり、同年10月にはJyotyも含めた3人でパフォーマンスを披露したりとこの2人も割と交流があるみたいです。
@becausejyoty Oh my bad. Anyway, tour stops in my bio ❤️😉 #fyp #jyoty #dj #fredagain #kennybeats ♬ original sound – Jyoty
また、同じく2019年にSkrillexと一緒にスタジオで作業する様子をアップしたこともあり、Skrillexが同年リリースした”Mumbai Power”のツアーの舞台裏を撮影したようなミュージックビデオに、Porter RobinsonやMijaらとともにKenny Beatsもフィーチャーされていることからも、仲が良い様子がうかがえます
2020年8月にはApple MusicのAt Home Withシリーズにて、Kenny BeatsとAnna LunoeとSkrillexとFKA TwigsとZane Loweが揃ってFace Timeを通して語り合ったこともありました。
そして今年7月7日、SkrillexがX(旧 Twitter)にアップした動画で、Kenny Beatsと一緒に曲を制作中であろう様子が伺える投稿を行ったのです!
… LONDONing @fukintayson @kennybeats @hamdi 🇬🇧 pic.twitter.com/xj55L7MAOy
— Skrillex (@Skrillex) July 6, 2023
ほんの数秒だけ流れる音源から、もうすでにやばいビートが鳴っているのが分かりますが、奇跡的にULTRA JAPAN 2023でKenny BeatsかSkrillexがプレイしてくれないか期待しています!
ULTRA JAPAN 2023のフルラインナップ& アーティスト出演日程発表
9/16(土)
MAIN STAGE
《HEADLINERS》 Axwell Λ Sebastian Ingrosso / DJ Snake / Endless Summer / Hardwell
《SUPPORT》MYKRIS9/17(日)
MAIN STAGE
《HEADLINERS》 Boys Noize / Peggy Gou / Skrillex
《SUPPORT》Kenny Beats pic.twitter.com/3MkTX5gp72— MNN (@Music_News_Net_) August 24, 2023
[9/16(土)]
■MAIN STAGE
《HEADLINERS》Axwell Λ Sebastian Ingrosso / DJ Snake / Endless Summer / Hardwell
《SUPPORT》MYKRIS
《ADDITIONAL SUPPORT》ARES CARTER / KIYOTO / MII / TYT
■RESISTANCE STAGE
《HEADLINERS》Adam Beyer / Nicole Moudaber
《SUPPORT》Chklte / Hiroko Yamamura
《ADDITIONAL SUPPORT》CARTOON / DRUNKEN KONG / MIHONO
■ULTRA PARK STAGE
DJ BRAIZE & DJ SERO / DJ WILDPARTY / DJ YAGI / DJ YU-KI / GIL GLASE / KEITA / KENTARO & HACHI / PARTY MONSTER / SENNA / SUNGYOO / WATANABE SISTERS / YELLOCK / 6.DO
[9/17(日)]
■MAIN STAGE
《HEADLINERS》Boys Noize / Peggy Gou / Skrillex
《SUPPORT》Kenny Beats
《ADDITIONAL SUPPORT》AKI-HIRO / AOY / BOPCORN / JEONGHYEON / KDH
■RESISTANCE STAGE
《HEADLINERS》Loco Dice / Sasha & John Digweed
《SUPPORT》Nic Fanciulli
《ADDITIONAL SUPPORT》DALJAE / LICAXXX / OSAMU M / TAKKYU ISHINO
■ULTRA PARK STAGE
ALYSHIA / DARUMA & JOMMY / DJ AXCELL / DJ KOMORI / JUNO / LIMO / MAO FELES / PARTY PUPILS / RINALY / SLOPPY DISK (TJO+KM) / TREKKIE TRAX CREW / VIVID / YOSHIMASA
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